2011 山陰・瀬戸内ツーリング(2) 京都〜城崎温泉

2日目 4月30日 7:00

一夜明け、京都での朝。ツーリングの時は目覚ましをかけずとも5:30とか6:00とか気持ちのいい時間に自然と目が覚める不思議。まあ、無計画故に前日ギリギリまで走ってるから寝るのが早いだけなんでしょうけど。

「清水寺に行くのなら朝早くの方が空いてて良いですよ」という宿のスタッフの方からのアドバイスを聞いて、フロントの開く6:00にチェックアウト。市内をトコトコ走って清水寺へ。バイクの駐輪場は清水寺門前町の手前に市営駐車場がありました。

音羽山 清水寺

門前町の坂道を登り切ると、仁王門、西門、三重塔が現れます。中学の頃来てるはずだけど、全く覚えていない…。現在の仁王門は平成15年に解体修理されたものだそうで、仁王門前の狛犬は両方とも「阿形」である珍しいものだそうです。・・・というのは帰ってきてから調べた事でした。もっとちゃんと調べて良く見てくればよかった…。朝も早いというのに仁王門前では外国人女性の団体がキャッキャしてました。

拝観料300円を払って本堂へ。有名な「清水の舞台」ですね。京都市街地が一望できる展望台みたいになってますが、本来はご本尊の観音様に芸能を奉納するための「舞台」だそうで、現在も行われているそうです。学がないと初めて知る事ばかりで得した気分になれますね。

良く見る角度から一枚。新緑とその中に浮かぶ桧舞台のコントラストが映えますね。遠くに見える市街地はモヤモヤとした眺め。どうやらこのGW、大陸からの黄砂がすごかったようです。

舞台を下から見上げる。この建物、釘を使わない技法で組まれているそうです。この辺りも秋になったら燃えるような紅葉が楽しめそうですね。一度秋の京都に来てみたいなー。

舞台の下には、清水寺開創の起源であり、寺名の由来となった音羽の瀧があります。流れ出る水は「黄金水」「延命水」と呼ばれ云々…。要するに非常にありがたい清水なんですね。瀧にアクセスする通路はディズニーランドばりに行列バリケードが作ってありましたが、朝早くなので行列は無し。さくさくっとお参りできました。

当然、ありがたいお水をすくう為のひしゃくが必要になりますが、それを清潔に保つための紫外線滅菌装置が設置されていました。信心とそれを支える科学技術との融合に痺れますね!

朝イチから何も食わずに坂を登ったり降りたりして、お腹が空かないはずがないのですが、なんだか食欲がわいてこないので、朝食は八つ橋(抹茶)としました。

今思えばこの時点で体調の変化に気付くべきだったのですが…。

宮津・天橋立

京都市内から天橋立のある宮津市までは国道を使って100km程度。平行して走る京都縦貫自動車道なんてのもありましたが、途切れ途切れで、乗り降りが面倒そうだったのでやめておきました(ここ最近ETCのエラー率が高いのも面倒)。

しかしまあ、有料道路が平行して建設されるって事は、地元の動脈的道路には間違いないわけで、100kmの道のりとは言え、代わり映えしない地方都市を繋ぐ国道はどこも流れの悪い動脈硬化状態。ルート選択をミスった僕の血圧が急上昇する場面もありましたが、お昼過ぎには目的地周辺に到着。

お約束と言いますか、天橋立周辺はどうにもならないほどの渋滞。周辺の空き地には「1日500円」なんて札を持って立ってる人がたくさん。一番苦手な混雑観光地パターンに帰りたくなりましたが、ちょっと離れたオートキャンプ場にバイクを置かせてもらえる事になりました。

よーく探したら、もっと中心部にちゃんとした駐輪場を見つけましたが、あまりの混雑に歩道にバイクを置いて行ってしまう人もいるようです(写真)。

文句ばっかり言っててもしょーがないので観光しましょう。天橋立の文珠側にある智恩寺の参道には「ちりめん」やら「ちくわ」の文字があり、ようやく海沿いまでやって来た事を実感します。

智恩寺入口にある唐様の立派な門は「山門」というそうです。

扇の形をしたおみくじが珍しかったので引いてみたかったのですが、高かったので断念。信心が足りませんね。交通安全のステッカーだけ購入しました。この文殊堂はあの高速増殖炉「もんじゅ」の名前の由来だとか…。

お参りが済んだところで早速天橋立を渡ってみましょう。
と、その前にある橋の前に人集り。

おお?

おおおおおwww

そしてスレスレを滑り抜けていく大型船…。
この橋、「廻旋橋」という名前で昭和35年から電動で稼働しているようです。

横から見るとこんな感じ。回転中、橋の上に立ってる係のオジサンが妙に得意気に見えたのが忘れられない。

とまあ、入場イベントもクリアしたところで天橋立内部へと入ってきたわけですが、この松林の道が延々3.6km、徒歩にして1時間もあるんですね。往復したら軽く2時間+絶望的な体力ゲージの消耗が予想されます。完全に舐めてたわ。

今にも降り出しそうな冴えない空の下、冴えない表情でカメラぶら下げて一人でフラフラしてる男は客引きのおばちゃんにどう写ったのか、対岸までひとっ走りしてくれるモーターボートがあるのでどうでしょう?とのお話でした。片道600円、ちと値は張るけど、渡しに船とはこの事です。

ちょっと怖そうなお兄さんの慣れた手つきで離岸。そういやこういう船って初めて乗った気がするのでワクワク。「お兄さん」とか書いてるけど、意外と年下だったりするんだよな…。

唸るような排気音と共に持ち上がるフロント!恐怖と高揚感!初めて単車のアクセルを全開にしたあのスピード感がいまここに!

という感動が恐怖に変わるのに時間は掛かりませんでした。だってものすごく揺れるんですもの。この日は天気の悪化と共に風が強くなって波が立っていた上、同じルートを走る大型観光船の引き波をクリアする度に大ジャンプですよ。こんな写真バシャバシャ撮ろうもんなら放り出されるレベル。昔、バスプロの今江克隆がどっかの湖の上でボートでジャンプして腰を痛めたって話を読んだ事あるけど、どういう事か良く分かりました。

ヘロヘロになって対岸に到着した後は、リフトで山の上へ。横風がすごく強くて揺れるのなんの。

黄砂で曇った天橋立全景を望む頃には完全に疲労困憊…。晴れてれば良かったのになーなんて悔やむ事も忘れて山を下る。

そもそも朝から食欲が無く、八つ橋しか食っていなかったので何か食べないといけなかったのですが、小汚い旅行の男が一人で入れるような店を見つけるのに苦労しました。やっとの思いで温かいうどんを流し込んだ頃、空にはお約束の暗雲が(笑)

この画像は通り過ぎた後かな?
とにかくバケツをひっくり返したような夕立と雷。バイクを置かせてもらったオートキャンプ場の調理場で雨宿りさせてもらえる事になりました。一緒に雨宿りした地元のオジサン曰く、「この辺は『弁当忘れても傘忘れるな』っていうくらい天気がコロコロ変わる」らしいです。

小一時間雨宿りしたところで、ようやく小振りになってきたので合羽を着て出発。この日の予定では鳥取砂丘近くのキャンプ場でキャンプのはずだったので、ちょっと気合い入れて走らないといかん。そんな気持ちとは裏腹に、体が妙に熱っぽく、頭がフラフラする。

この流れは完全にマズイので、予定を変更。キャンプを中止して近場の宿で休む事にしました。宮津から西に走って、兵庫県に入り豊岡市へ。この辺だと一番大きそうな街なので、ビジネスホテルが探せそう。と、地図を眺めていたらその北に城崎温泉という温泉街があるのを発見。どうせ金払って泊まるんなら温泉のが良いよねってことで、ダメ元で問い合わせ。「なんとか1名様大丈夫です」との回答に早速転がり込みました。

城崎温泉

観光案内所の丁寧なおばちゃんに案内されてやってきたのは、僕みたいな小汚い旅人でも遠慮しなくて良さそうな(失礼)家庭的な素泊まり宿でした。この後街中散策して思ったけど、結構若い観光客が多いので、人がたくさん泊まれるでかいホテルなんかより静かで良かった。

いつもなら「やべーww この宿オバケ出そうwww」とか言ってそうだけど、今日のこのボロクソ具合では屋根のあるところで布団で寝られるのがありがたいのなんのって。しかも素泊まり宿でも布団は敷いてくれるんですね。

宿のおじちゃんおばちゃんもいい人だったし、転がり込んで正解でした。ちょっと高かったけど。

ともあれ折角の温泉街。宿のおばちゃんに薬屋さんの場所を聞いたら、共通入浴券とカメラを持って下駄でカラカラと繰り出しました。

この城崎温泉には七つの外湯があり、共通パス的な入浴券で入り放題だったかな?

その歴史は平安時代にまで遡り、数々の有名人や文豪も云々…は観光協会のうたい文句ですが、北にすぐ海があり、西は山、食べ物は美味しいし、泉質も良好ということで人気を博している温泉地。

風邪薬を買った後は僕も早速外湯巡り!と行きたいところでしたが、風邪ひきながら無理してもしゃーないので、湯冷めしない程度に散策してメシ食って帰る事にしました。

アテもなくフラフラしているところに突如現れたパチンコ屋。

中は古き良き遊技場でした。

結構な賑わいっぷり。

これ手打ちのパチンコ台?あんま人気なさそうでしたけど、かなり台数ありました。元気だったら遊んでいきたかったけどなー。

晩御飯はウニ丼(笑) 海近いから海鮮もののお店が多いですね。食欲無かったけど、食べないと薬飲めないし、良いもの食べて温泉入って寝れば元気にならないわけがない!

というわけで、体調トラブルから縁あって転がり込んだ城崎温泉。とても良いところでした。でもワイワイ騒ぐってよりは静かに楽しむ場所って感じですね。大人の女性の傷心旅行なんかに良いかもしれません?

・この日の走行距離:318km  そりゃ疲れるわけだ。