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KAWASAKI PLAZA宇都宮でZ900RSの実車見学

去る2017年12月のとある日、実家帰省の空き時間にKAWASAKI PLAZA 宇都宮インターパークへお邪魔してきました。お目当ては発表になって間もないZ900RSの実車を見ることです。あわよくば試乗なんてできたら最高ですが…

宇都宮のKAWASAKI PLAZAはショッピング施設が並ぶ上三川インターパークの一角にありました。以前からここにあることは知っていたのですが、特に用事もなく足が向きませんでした。週末となれば家族連れで周辺道路が麻痺するほどの賑わいを見せるインターパーク界隈になぜカワサキのディーラーが??

 

お目当てのZ900RSは探すまでもなく入ってすぐに展示されていました。嫌でも目立つ伝統の火の玉カラーが眩しいです。開店時間を少し回ったくらいで入店したのですが、このZ目当てと思われるお客さんが次々とやってきて、のんびり写真を撮る余裕がなくなるほどでした。

 

気になるお値段は132万円、諸費用込みで150万円くらいでしょうか。カラー展開は2色で、火の玉カラーのキャンディトーンブラウン×オレンジが3万円高です。お店の方の話だと、火の玉カラーはもう1色のブラックよりクリアの層が何層も厚く塗られており、質感高く仕上げてあるとの事でした。

150万円と聞くと四輪車買えるじゃん!と言いたくなりますが、中古市場の旧Zは言うに及ばず、ゼファー750でさえ物によっては150万円近いプライスを下げていることを考えると安い買い物だ、と決断されるお客さんも少なくないそうです。

もう一つ気になるのは車重ですが、215kgと予想よりだいぶ軽いようです。昔乗っていたW650が211kgとありますから、それに近いでしょうか。Z750four(240kg)とW650の2台体制だった時、Zの後にWを動かすと自転車じゃねーの?と思うくらい軽く感じたので、それくらいの驚きがありそうな車重です。スペック表の横には同じく火の玉仕様の限定メットまでありました。往年のファンはうっかり手が出てしまいそうですね。

全体的な造形としては現行車のスタイルによくあるギュッと詰まった腰高でマッチョな印象を受ける一方、タンクからサイドカバー、テールカウルに至るラインは直線的で、旧Zのイメージをできるだけ踏襲しようとしているように感じました。もちろん私の周りの旧車ファンには「取ってつけた無理矢理感がある」という感想を持っている方もいますし、それも理解できます。しかしZファンの端くれとしては、制約の多い現代のバイク設計や市場においてファンを喜ばせようと形にしてくれたことが嬉しいのです。

 

細部を見ていきますと、まず目についたのがテールランプ。前述したテールカウルの造形だけでなく、ランプも旧Zを意識した丸型レンズになっています。最近の新型車であればこのレンズの中にびっしりと並んだLEDが眩しいほどに光りそうですが、Z900RSでは敢えて旧来の白熱球の光り方を模倣した一灯型になっていました。

ウィンカーこそ現行車風な形をしていますが、2017年東京モーターショーで同時に展示されたカスタムモデルでは旧Zタイプのウィンカーを装着しているものもありましたので、後々には対応した製品が登場することも期待できます。

 

Custom by DOREMI COLLECTION | Kawasaki Z900RS カスタムプロジェクト「Beyond Z」より

他にも4本出しマフラーやキャストホイールを加えるとこんな姿に!全部このままの形にできるとは限りませんが、往年のスタイルを指向したアフターパーツがリリースされることは期待できそうです。

 

一方でノーマルマフラーは集合の1本出し。ド派手なカスタム車両を見た後だと地味に見えますが、最新の排出規制をクリアしつつ、馬鹿でかい大根みたいなサイレンサーを装着していないと考えるとシンプルかつ十分な仕様かと思いました。さらに特筆すべきはそのエキゾーストノートなのですが、これホントにノーマルマフラーなの?ってくらいに迫力があり、売り物でなければ今すぐ乗り出してしまいたいくらいに官能的なものでした。

このエキゾーストノートもテールランプ同様、納車前の車両で試験的に聞かせていただいただけで、ウェブ等へのUpは控えてくださいとのこと。発表間もない新車を見に行く機会なんて初めてなので、そういうところにも気が回るようにしないといけません。

 

火の玉カラーがお立ち台に上って目立つ一方、店舗の片隅に展示されていたメタリックスパークブラック仕様。Z系のアイデンティティを背負った火の玉カラーに比べて一見地味ですが、個人的にはこちらのカラーが落ち着いていて好みです。

 

落ち着いていて好み、というのもありますが、現在の愛車であるZ750fourのカラーパターンと似ていませんか?正確にはZ1000 A2のカラーですが、火の玉カラーに対して食傷気味になっていたところで衣替えしたこの黒/金ラインがとても気に入っており、現在もこの仕様です。カワサキがこのカラーパターンを狙ったかどうかはわかりませんが、いきなりこんな近いデザインが出てきてびっくりしました。

 

先程の車両でじっくり見られなかった細部を見ていくと、メーター形状もしっかり砲弾型になっています。内部のインジケータには標準装備されているETCのランプもあり、後付のセンサーを付ける必要もありません。

 

そしてこの日個人的に一番嬉しかったのが、このサイドカバーエンブレムの字体です。上記した私のZ750fourの字体と同じじゃないですか!なんだかファンに迎合していていやらしい!という向きがあるのもわかりますが、こんな細かいところまでこだわって作ってくれてるなんて、ついうっかり契約してしまいそうになりますね。しかしこの時点(2017年12月)では火の玉カラーが完売・次回納入未定、ブラックも2018年3月納車の枠があと僅かだそうです。売れてますね。また、試乗車も2017年末ごろには店舗に到着するそうです。

 

その後は対応してくださった店員さんと時間を忘れて話し込み、パンフレットまで頂いてしまいました。Z1とならんだ描写がたくさんあって見ているだけで所有欲が満たされるような錯覚を起こしかねません。

 

このKAWASAKI PLAZA宇都宮は元々は県内でも有名なカワサキの販売店だったようで、話をしているうちに以前私が乗っていたW650を販売したお店であることがわかりました(正確には私に売ってくれた友人が新車で買ったお店)。販売店からKAWASAKI PLAZAになるには細かく厳しい条件をクリアする必要があり、その為に市街地から郊外のショッピングモールエリアへ移転したとのことでした。

こうして乗り物趣味にのめり込むきっかけの一つになったW650の出身店舗に偶然再会し、受け継がれるZの系譜に酔っているとこれも何かの縁ですね、と判子を突きそうになりますが「これ以上の増車は分身ができるようになってから」と嫁に釘を刺されていることを思い出しました。旧き良きマスターピースな車両を味わうことも贅沢ですが、その系譜を現代に蘇らせてくれるメーカーに感謝しつつ、最新の技術を堪能することもまた贅沢なのではないかと感じたのでした。

 

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