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ZとW 平成の終わりを走る昭和のKAWASAKI



W1SAが我が家にやってきて毎日がW尽くしになってしまった頃に、Zのフィーリングが恋しくなってきました。最後に乗ったのがいつか思い出せないくらいにも関わらず、問題なく始動してくれました。他のバイクに熱を上げると今までのバイクがヘソを曲げるという経験は私だけでは無いと思いますが、我が家の乗り物達はもう諦めてるのかもしれません。

裏通りでゆっくり暖機運転してから回転を上げると、Wとは違うシルキーで上品なパワーの出方がとても新鮮に感じてしまいました。自宅での取り回しの時は重くて仕方ない車重も、こうして滑らかに加速する乗り味の安定感に一役買っているように思います。

バタバタバタッと低〜中回転が楽しく、旧車然としたWに対して中回転以降までスムースに伸びていくZは、Wに比較すると明らかに次世代のバイクであると感じます。また、路面を蹴り飛ばすように加速するWに対して、視界が胸元に吸い込まれていくような加速感は60年代設計のツインでは得られにくいものだったのかもしれません。

英国車や国産ツイン、2ストトリプルが席巻していた時代にDOHCインラインフォアが生み出された衝撃の片鱗を、この平成が終わる年に味わえているのかもしれない、と考えるととても興味深い事です。

 

2018年の現代ではこうしてある程度客観的に捉えられるこの2台の性能差も、当時は衝撃的なものだったのではないかと思います。とはいえこのW1SAは72年式、ZもZ2として72年には発売されているのでほぼ同時期に店頭に並んでいたことになるはずです。

当時この二台を乗り比べたらほとんどの人はZを選んだのではないでしょうか。実際にその時代を知る先輩方からもそのようなお話を伺ったことがあります。60年代に基本設計がなされたWと70年代の入り口に設計されたZでは時代の違いを感じさせるほどの性能差があったわけです。

 

これまでBMW R100RSとZを交互に乗って違いを楽しんできました。設計は同じ70年台でも国産DOHCの祖と世界的フラッグシップツアラーでは、キャラクターが違いすぎて全く別の乗り物に乗っている感覚でしたが、それはそれで時代とお国柄のギャップを楽しむことができました。

一方このWとZは設計にが約10年の差がありながらも同年代として世に輩出されていることから、比較的狭い時間軸においてのカワサキの哲学を読み解くことができるコンビなのかもしれません。

国内でのセールスは好調ながら英国車のコピーだと言われて海外で伸び悩んだと言われるWと、CBに遅れをとりながらも満を持してシェアを獲得したZシリーズ。ただのカワサキ好きが高じてガレージに並んでしまったこの二台ですが、進化の目まぐるしいこの時代のバイクを乗り比べるのはとても有意義で贅沢なことだと感じ始めました。

 

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