白糸スピードランドで開催されたBOBL2019年第1戦に耐久チーム員として参加してきました。
BOBLとはBattle Of Bottom Linkの略で、1964年までに製造されたフロントボトムリンク機構のオートバイが参加できるレースイベントです。雑に言うと初期型のスーパーカブとその仲間たちのレースです。
サーキット走行が楽しくなり始めた一年前、悪友らと借り物APEで出場した「レン耐」にて小排気量車の走行も楽しいことに気付いてしまい、大まかに括れば同カテゴリのBOBLにも興味を持っていました。
レンタルバイクで耐久レース at 筑波サーキット1000 | Scientist on the motor
しかし、出走レギュレーションを満たす1964年のOHVエンジンは大丈夫だとしても、極細のタイヤにフロントボトムリンクサスペンション、シーソーペダルのシフトチェンジ、ベース車両になるであろうC100はどう考えてもレース向けの車両ではありません。参加するにしても車両の準備にハードルがありますので、今シーズンあたりこっそりと観戦に行こうかなと思っていたところ、Gさんが今シーズンから参加するとの話を聞き、厚かましくも耐久チーム員として参加させていただけることになりました。
遠いと思っていた白糸は意外と遠く感じませんでした。富士河口湖ICから本栖湖方面へ走り、富士山の西側を南下する県道75号がとても気持ち良かったです。都心を通過する筑波よりマシかもしれません。
到着した白糸スピードランドは規模こそ大きくないものの、爽やかな春の陽気と富士山をバックに望むロケーションが気持ち良いです。
一緒に走ってもらうGさん、Mさん挨拶して、早速パドック内を散策しました。60年近く前のカブとは思えないレーシーなマシンだけでなく、エントラントのみなさんがとにかくお洒落です。サンデーレースというとラフな装いの男性が多いイメージですが、モータースポーツ人気の盛り返しにはこうした小綺麗な格好良さが必要なのかもしれません。と、自分の着倒したツナギを見ながら反省しました。
内燃機加工してまだ50kmしか走っていないというこのC100号、まだナラシが必要な段階にも関わらず練習走行へとコースインしました。まずは様子を見ながら探り探りの走行のようです。
事前にナンバー取得して行動をテスト走行していたこともあり、特に異常はなさそうです。サーキット走行をしに来たにも関わらず、メカニックが二人もいるチームだとマシンの心配をしないで良いという贅沢な環境です…。
その後耐久メンバーも練習して良いとの事で、早速私もコースインしました。跨ると意外に硬めの足回りです。そして何よりポジションに困りました。いつもそこにあるはずのタンクが無く、下半身でのホールドがしにくいのです。タンクが無いとホールドできないのは甘えなので、ステップからかかとでホールドするも、どうしても上半身に力が入ってしまいがちになります。
パワーがあるとは言えないものの、意外とトルクフルに回るエンジンはこの規模のサーキットを走るのであれば十分なものでした。あとはシフトチェンジを決めて、上手い人の走行ラインを真似すれば「走るシケイン」は免れそうです。
だんだん走れるようになった気がするところで練習時間終了。慣れたとはいえタイムは59秒台で、上級者の53〜4秒台はまだまだ遠そうです。
午前中はクラス別のスプリントが行われました。ワイワイとパーティのような雰囲気もありながら、レースが始まると皆さんスイッチが切り替わるようで、どのクラスも観戦しているだけで楽しめました。
昼食はエントリーフィーに含まれており、その場で準備されたカオマンガイでした!オシャレです!サーキット遊びの日はどうしても早起きしてコンビニ飯ばかりになってしまうので、こんな食事が食べられるととても得した気分になります。
しかしお昼休みは練習時間も兼ねているので、美味しい余韻に浸る暇もなく着替えてコースインです。車両の出力特性はなんとなくわかった気がするところで、あとはブレーキングとラインのトレースです。とにかくスピードを落とさないことが速く走るカギであることを事前に聞いていたのですが、スピードを落とさない=コーナリングスピードを維持する=車両の旋回性を理解してバンク角を稼ぐ…。どんな車両でもそうですが、これが一番怖くて難しくて楽しいところです。
いつも乗っているWやZに比べたらはるかに軽量でタイヤも細いわけですから、倒し込み操作に対する応答が早い事が恐怖に感じるところから始まります。しかし慣れてしまえば素直で扱いやすい車両なのかもしれません。耐久レースがスタートして、第一走者のMさんと交代し、数周するとインフィールドの右コーナーでブレーキペダルの底を擦るようになってきました。視点とステップ荷重を意識するだけで気持ちよく曲がるようになった気がします。
しかしコーナーに合わせたギア選択や、先行者をパスする走行ラインなど、付け焼き刃ではどうにもならない事もたくさんありました。慣れとともにコーナリングスピードが上がれば、ギア比もフィットしなくなってきます。シンプルな3速ミッションだからこそ分かりやすいですが、4速のW1SAでは最近になってようやく気付いた課題です。サーキットに合わせたギア比選択というのはこういう事なんですね。
そんな事も考えられるようになったところで急に高回転のトルクがなくなるのを感じました。シフトミスしたか?オーバーヒートした?スロットル開度に回転とトルクが付いてこないので低回転で流すように走っていると、異変に気付いてくれたGさんMさんからピットインの指示が出ました。
ピットに入るなり「点火時期ですね。確認してみましょう」と作業を開始し、見事的中。調整後、Gさんのテスト走行では元通りの出力を取り戻しているようでした。その後Mさんの走行では先頭集団にも劣らないタイムを叩き出し、最後は私がチェッカーを受けました。
結果は101週でエントリー数24台中15位!100周できたらいいね。という目標でしたので達成できました!レースに「たられば」はありませんが、点火時期のトラブルがなければあと数周は追加できたかもしれません。3人とも初参加で、車両のモディファイも最小限ですから、まだまだこれから伸びしろがありそうで?楽しめそうです。
結果はどうあれ、普段と違う車両でのサーキット走行は考える事も得るものも多く、とても楽しめた有意義な1日となりました。車両や目的は違えど、根本は通じているわけですからこれからも貪欲に走っていきたいと思います。