毎日バサバサと音を立てるように花粉の降る3月に阿佐ヶ谷Antiques cafeで知り合った方々と群馬へツーリングへ行って参りました。ツーリングといっても楽しむポイントは人それぞれだったりするので、今回のように目的地が複数用意されている場合は人によってツーリング名称が違ったりします。故に僕の場合は「群馬インスパイアツーリング」
8:00 三芳PA
偶然にも黄色が2台と青が2台の組み合わせ。皆さん良いバイク乗ってる上に小綺麗なもんだから、最近ではツーリング集合時間の30分前に到着してフクピカするのが習慣になっております。
観光地で見かけるような旅の足跡帳みたいなものがフードコート内に置いてありました。この手のノートを読むのが好きなので見つける度に眺めてしまうのです。大体の場所は置きっぱなし、書きっぱなしでカオスなことになっているのが常ですが、ここではスタッフから赤ペン先生ばりのコメントが付いており大変珍しいです。最近のSNS世代からするとこの間のコメントにお返事付いたかなー、と再度脚を運んでしまうかもしれません。うまい事考えますね。
10:30 群馬県富岡市
関越道~上信越道から富岡IC、途中群馬メンバーと合流して富岡製糸場近くの駐輪場に到着。「宮本町まちなか交流館」という公共の観光案内所みたいなところでしたが、二輪は無料で停められるみたいです。ありがたや。
実はこの日初めて実物を見たXATAMANくんのSR、その弄りっぷりから隣に並んだSR乗りに「これベースなんですか?」と質問されるというエピソードがある程。自分でここまでやっちゃうんだからすごいよね。ずっと眺めてるとバイクのカスタムって底が無いんだなって思うと同時に、アイデアと技術と情熱があれば何でもできちゃうんだな、っていう気分になってきてまたバイクにお金がかかりそうで怖いです。
10:40 富岡製糸場
早速1カ所目の目的地、富岡製糸場へ。バイク停めた所から歩いてすぐでした。便利ですなあ。入場料500円也。
富岡製糸場といえば歴史の教科書に出てきた日本の産業の近代化を象徴する項目のひとつですが、何故か個人的には富国強兵の大義の元、若い女の人が工員として働かされて酷い生活をさせられた、みたいなどんよりとしたイメージが頭のどこかにありました。が、館内の展示を見てみるとそんな説明は一切無く、むしろ今の僕なんかより大変健康的な労働環境でした。サビ残とかなさそうでうらやましかったです。
じゃあ僕の頭の中にあったイメージは何だったのか・・・。と調べてみたところ、製糸工場の女工さんを描いた「女工哀史」「あゝ野麦峠」という作品があるので、そのテレビドラマ版でも見たのが記憶に残ってるのかもしれません。この2作品は富岡ではなく岡谷にあった製糸工場のお話だそうですが、じゃあ富岡と岡谷でどうして待遇に差が出てしまったか、なんてのは立地とそれぞれの工場の成り立ちが関係してくるみたいです。
ちなみに小難しい顔をして展示資料とにらめっこしなくとも、入場口から定期的に案内ツアーが出ていたので、ホイホイ付いて行くと楽です。小一時間程で見学できるそうです。
東繭倉庫にある「フランス式繰糸器」(の再現されたもの?)
機械・金属オタク達は早くも垂涎。僕はその隣のバカでかいブリュナエンジンという蒸気エンジンに齧り付いていたはずなんですが、ハードディスクのどこを探しても写真が見つかりません。展示されていたのはレプリカでしたが、かつての製糸場の地下で動力源となっていた心臓部。愛知県の明治村というところに行けば実物があるらしいですが、動いているところは見られるのでしょうか。
蚕が作った繭から生糸を作るまで数工程あるそうですが、この機械はこんな感じで繭から糸を縒り合せて回収していくための物のようです(あんまおぼえてない)。
展示フロア奥には「座繰り」という古典的な糸繰りの体験コーナーもありました。「上州座繰り」「富岡座繰り」と有名な技術だそうですが、それにしても座繰りってすごい響きですよね。ざぐり。
外も見てまわりましょう
東繭倉庫の入り口は補修中。
建物についてのお話は東繭倉庫内の映像資料で詳しく説明されています。設計の元ネタは海外からのものですが、レンガは甘楽産、目地は下仁田の漆喰と地元産が使われています。
中庭?からは工場全体の動力源から伸びているであろう立派な煙突。煙突って良いね。
周囲には工場内の管理の為の建物が建っていますが、これも和洋折衷な古いものばかり。
ちょっと怖そうだけど、可愛らしい渡り廊下。
手前の建物も立派ですが、旧いもの好きが集まった今回のメンバーはその奥の建物に興味津々。その昔は寮だったみたいですが、相当劣化してるみたいですし近づくと危ないかもしれないですね。
操糸場
その昔はさっき出てきた「フランス式繰糸器」が並んで世界最大規模を誇った操糸場。
トラス構造でできているので内部は柱が無く、空間を広くとることができたのだそうです。よそ見をしているうちに入り口で見失った見学ツアーご一行を発見。
今でこそ並んでいる機器は昭和40年代以降に設置されたものですが、子供の頃遊びに行った町工場の雰囲気が残っていて非常に懐かしい。事務員さんに飴をねだるのが得意な幼少時代だったと記憶しております。
富岡まちあるき
製糸場見学の後は富岡の街を散策。観光案内所的なところに行くと、地元の方が作った街歩きマップが貰えます。製糸場全盛期の面影を辿る細かい見所なんかも書き込まれていて、散策には欠かせないアイテムとなっております。
ちょっと順番が前後しますが富岡製糸場を見学する前に立ち寄った時計店。
出だしからすごい雰囲気の建物。望楼のある店舗なんてなかなか無さそうです。
製糸場までの通りには懐かしい品揃えの駄菓子屋さんもありました。最近の小さい子って駄菓子屋さんとか行かないんだろうなーなんて勝手に思っていましたが、お店のおばちゃんが出かけている間、小学生くらいの子達が楽しそうに留守番してました。
おじさん達も少年時代を思い出して少々はしゃぎました。いいですねーこういうの。
歓楽街的なエリアを散策。今日ではご覧の場末感です(それはそれでいいのです)が、製糸場を中心に街が栄えた時代には相当な人が夜遊びをしていたであろうエリア、でしょうか。
パチンコ幸楽。琥珀色のガラス扉がすごくいい感じだったのですが何故写真が無いのか…。
通りの角にあった煙草屋の自販機。並んでる銘柄も値段もそのまま。昔父親が吸っていたマイルドセブンのパッケージ懐かしいなあ。
通りを曲がると製糸場の煙突があったり。
おなかがすきました
ちょうどお腹の空く頃、事前に調べてもらっていた食堂に到着。入る前からいい雰囲気過ぎる。
富士屋 富士屋軽喫茶店 – 上州富岡/カフェ・喫茶(その他) [食べログ]
外観だけでなくもちろん内装も懐かしい雰囲気。昔僕の地元にも幹線道路沿いのドライブインを兼ねた昔ながらの大衆食堂があったのですが、道路の拡張工事に合わせて小綺麗な建物に変わってしまいました。ご飯大盛りにすると日本むかし話ばりに盛られたような記憶があります。
メニューはカレーラーメンからやきそばまで充実の麺類とカレーライスなどなど。僕は辛いものが苦手なので外食でカレーを食べる事が滅多に無いのですが、何か感じるものがありカレーライスを注文。
スプーンがコップに入って来るし、ソースもついてくる!
出てきたカレーはお店のおばちゃん達がカレー粉から手作りしてるそう。食べながらどこかで食べたような気がするんだけど母親のカレーの味じゃないんだよなーと考えていたのですが、今になって思い出すとばあちゃんちで食べたカレーの味にそっくりでした。淡い色して角の丸い味。ソースをかけて食べるとまた美味しい。
その昔、この富士屋の前には映画館があって、映画を見終わってお茶を飲みにくる人達で大変繁盛したんだそうです。こんな古いところが好きなんて若いのに珍しいね~なんて笑うおばちゃんの話を聞いているうちについつい長居してしまいました。
まちあるき再開
こういう肉屋さんのコロッケってすげー美味しいよね~、と覗き込みますが、食事したばかりなので流石に食べられず。夜にはこのツーリングのメインイベントが控えてますからね。
懐かしいおもちゃがたくさん並んだおもちゃ屋さんの棚に囲まれた裏側で見つけたこの空間がこの日のMVP。左側に置いてある単位時間いくら、で電源が入るこの機械、古い病院の病室のTVなんかにも付いてましたけど懐かしすぎるだろこれ…。実家の隣町においてあってよく連れて行ってもらいました。
松浦商店
そして辿り着いたこちらが本日の目的地その2の松浦商店。何のお店かと言いますと、
日用品の他、大量のボタンを取り扱うお店でした。
これだけ大量の品揃えとなると、ど素人の僕も圧巻。いろんな色と大きさと形と、ボタンってこんなにいろんな種類があるのね。へえー、で終わってしまう無粋な僕とは対照的に洋裁などを嗜まれる皆様はあれやこれやと興味が尽きないご様子でしたので、お店のある上信鉄道上州富岡駅周辺をお散歩する事にしました。僕もボタンくらい自分で直せるようにしないといけないですね。
ちょっと歩いたところに立派な赤レンガ倉庫発見。富岡の街中には製糸場と同時期に建てられたであろう立派な建築物が結構あるみたいです。やはり繭の乾燥庫など、製糸場関係のものが多そうです。
赤レンガ倉庫の隣にはカッコいい大谷石の倉庫。鉄扉のサビ具合がまたいい感じです。個人的には将来は大谷石でできたガレージを持つのが夢です。
この倉庫がある場所、ちょっとした広場になっていて、PVの撮影にでも使えそうなくらいの雰囲気なんですが、おかって市場というお店で、敷地を利用したイベントも行われているようです。
日も傾いてきたので、混み合う高崎市内を走り次の目的地へ。
Natto CAFE & CLOTHING
この日の目的地その3、Natto CAFE & CLOTHINGさんへ。
Natto(ナット)|群馬県高崎市のAquvii,Attractions,MATTSONS’,ORGUEIL 正規取扱|通販
説明するには僕にあまりに知識が無いので詳しく書くことができませんが、かっちょいい服やら小物がたくさん置いてありました。僕もそろそろライダース一辺倒を卒業して、冬用のジャケットが欲しいんですけど・・・
と、相談するとメチャクチャ詳しい店長殿がいろいろ教えてくれます。ほんと服って奥が深いんだなあって感心するとともに今まですんげえ無関心だったなーって気付きますね。
Shopスペースの隣はCafeになっておりました。緑のカリモクが自宅のようで大変に居心地が良い上、マサラチャイがマジで美味しいのでオススメです。寒い冬にガタガタ震えながらわざわざ飲みに行くのとかいいかもね。
なんて談笑している間に日が落ちてしまいました。また明日からの地獄の1週間に耐えられるようエネルギーを補給しなければなりませんね。
自家製ラーメン大者
群馬県のジロリアンにとっては世界遺産が無い事よりも、海が無い事よりも、関東で唯一直系二郎店舗がないことが悔しい、というのは二郎界では有名な話ですが、そんな群馬が擁するインスパイアの雄がこのお店。かつては東京平和島で「暖暖」というインスパイア系人気店を経営していた店主が地元高崎に帰ってきて開いたお店との事。というわけで我々は本日4カ所目の目的地にしてメイン目的地に到着した訳です。
機械のようにテキパキと正確無比な動きをする事で有名な店主。「トッピングぅ~?」と聞かれデフォルトをお願いするとこの量。肉塊のような豚に完全に打ちのめされ、久々に完食を果たせませんでした・・・。野菜はシャキ気味、麺がちょい細めで食べやすいです。いつの日か必ずリベンジを、と考えていますがついに毎週の二郎も厳しくなってきた昨今、素直に豚減らしコールでまた美味しくいただきに行きたいです。
てなわけで朝から晩まで密度の高い日帰りツーリングであったことはこの記事中の写真数を見て頂ければお分かり頂けるかと思いますが、峠やらブンブン走り回らなくてもこうやってみんなでわいわいといろんな文化に触れながらのんびり帰ってくるツーリングも楽しいですね。