本州最南端、和歌山県串本町の潮岬キャンプ場から行程開始になります。本当は日の出と共に起床して有名な橋桁岩を撮影しに行きたかったのですが、4:30のアラームに気がついたものの、用を足して二度寝しました。
気持ちの良い朝の最南端をゆっくり過ごしてから出発しました。この日の行程は今回のツーリング中で最短の150km程度なので、何も考えずに走っても昼過ぎには目的地に到着してしまいます。ロングツーリングとなるとどうしてもあれこれ欲張ってしまいがちですが、時間に追われずのんびりできる日があるのは気分的にも余裕が生まれて良いですね。
串本町を出発し、国道42号線を白浜方面に出発しました。朝の澄んだ空気の中、南国のような綺麗な海沿いを走るのは本当に贅沢で気持ち良い時間です。途中から開通している紀勢自動車道も利用し、上富田の手前にある「道の駅 くちくまの」で早めの休憩をとりました。今朝は朝食が軽めだった事に加えて、昨晩に何を食べたのかよく覚えていなかったので、ここで早めの昼食をとることにしました。
せっかく初めての和歌山県なので、和歌山ラーメンを食べたかったのです。20年くらい前?に食べた時は不思議な味に感じましたが、今食べるとまた別の印象になりますね。シンプルなようで複雑な味わいが美味しく感じました。セットで食べる秋刀魚寿司がさっぱりしていて「ラーメンと寿司」というアンバランスなイメージを覆してくれました。
この先のルートを確認後、上富田から国道311号で本宮方面に向かいました。このエリアは世界遺産登録された熊野古道への入り口が多くみられ、確かにその山深さには畏れすら感じました。
そんな深い山間がぱっと開けたら観光客で混み合った街?観光地?と、きょろきょろしていると、そこが熊野本宮でした。国道沿いの立派な鳥居と最近整備されたであろう沿道のコントラストが妙でしたが、どこの観光地でも同じような事になるんですね。
本宮近くの道の駅でのんびり休憩しました。この日もいい天気で河原を吹き抜ける風が心地よかったです。今夜の食材を少しだけ調達してから駒を進めました。
観光客で賑わう本宮の街から国道168号を北上し、キンキンに冷やされたトンネルを潜ると再び深い山の中に入っていきました。脇目に広大なダム湖が見える頃には、それまでの快走路から一転、急峻で幅員は減少し、大阪方面へ帰るであろう観光客の交通量が増えてきました。十津川村は趣きある山奥の温泉地という雰囲気でしたが、残念ながらタイトな交通状況ではゆっくり楽しむ余裕がありませんでした。
再び高規格なバイパス路に入ると、この日の目的地である「谷瀬の吊り橋」への案内板が見えてきました。失礼なことにどこにでもある山奥の観光スポットだと思っていたら、ものすごい混雑ぶりです。分岐を間違えて吊り橋の真横を通ってしまったのですが、溢れんばかりの家族連れで賑わっており、離れた臨時駐車場からシャトルバスが運行されるほどでした。
そんな吊り橋の近くにある「谷瀬吊り橋オートキャンプ場」がこの日の宿泊地です。連休も終盤だというのにそこそこの混雑ぶりでしたが、これでも随分空いたとのこと。昨今のキャンプブームは想像以上のようなので、私達のような小汚いキャンプツアラーは気をつける必要があります。
予想通り日没までは時間がありそうなので、大荷物を放り投げて空荷のワインディングを楽しむ事にしました。出発しようとすると、近くを流れる川から冷たい風が吹いて、空模様が怪しくなってきました。
「なんだか降りそうだな」
「空荷だし雨雲くらい振り切ってやろうぜ」
と、無根拠に気の大きくなった3台は雨の匂いを感じながら十津川村を北上し、五條市を経由して天川村の洞川温泉へ快走するものの、工事による険道への迂回により雨雲直撃を食らうのでした。全身ずぶ濡れの寒さに耐え、ガソリンの残量を心配しながら転がり込んだ洞川温泉はとても上品な雰囲気の温泉街でした。
ずぶ濡れの小汚い3台にとっては渡しに船というもの。「雨に降られたのは残念でも、この温泉を楽しむための演出だと思えば上出来じゃない?」なんて会話があったかどうかは忘れましたが、少々のトラブルも楽しい旅の中では良いスパイスになるものです。
しかし夕暮れ時とあって、縁台で酒坏を傾ける宿泊客の姿が大変目に毒です。気力体力の回復した我々も今夜の食材を調達して、夕立後の生ぬるい空気の中をキャンプ地まで引き返しました。
「食材を調達して」とは言うものの、夕食時の温泉街で食材を売る店は少なく、加えてキャンプ場近くの商店も17時頃には閉店していました。洞川温泉で買った鮎の塩焼き、熊野で買った古代米と酒というストイックなメニューで3日目の夜は終了。正直なところキャンプツーリングって3日目くらいから疲れが残るよね?次から3日目は民宿とかでもいいよね?などと話しながら、各々の寝床に就きました。
4日目に続く