販売開始から売れに売れているというKawasaki Z900RS、熱も冷めない昨年末に実車を見に行ったKawasaki PLAZA宇都宮では「試乗車を準備する」との事でした。
なかなか宇都宮で時間を作ることができないまま半年が過ぎてしまったこの夏、ようやく空き時間に試乗することができました。
試乗予約はお店のWebサイトからできました。ただ、繁忙期にも関わらず前日の夜に予約してしまったため、スタッフの方にはお手間をかけてしまいました。試乗の際は余裕を持って予約しましょう。
試乗の際の装備について質問すると、ヘルメットとグローブは持参し、靴はブーツが好ましいが、スニーカーなどでも構わないとの事でした。
装備を揃えて予約時間にお店に向かってから気づきました。猛暑日のこの日、意気揚々と自動ドアをくぐった私の上半身は普通に半袖Tシャツだったのです…。自分のオートバイに乗るならまだしも、試乗ですから半袖が推奨されるわけがありません。「くれぐれも安全運転でお願いします」との注意に平謝りしてから誓約書等の書類の確認をしました。
店員さんから車体を預かると、予想通り車体の引き回しは軽快でした。重量的にも200kg台前半ですから、W650と同じくらいですね。車体に跨るとさらに重さを感じにくくなりました。この辺はアップライトな姿勢と重心の位置によるものなのでしょうか。気になる足付きは思ったほど良いわけではありませんでした(身長170cm男性)。我が家のアンコ抜きZと同じくらいでした。
キーオンで回るメーター針の演出に心踊ってしまいました。よく考えたらこういう演出のある乗り物に乗ったことがありません。こういうの良いですね…。セルスターターがON/OFFスイッチかのように回り始めるエンジンは実に軽快で、文字通りどこまでも回りそうでしたが大人なので我慢です。スロットルに応じて聞こえてくるエキゾーストはうるさすぎず、かつ不満に思わない絶妙な味付けだと感じました。
いざ発進!と、クラッチとシフトタッチの軽さに驚きました…これも旧車乗りの悲しいところでしょうか。クラッチをゆっくり繋ぐと低回転から十分すぎるトルクがあり、大げさに言えばアイドリングで走れるんじゃないの?というくらいです。
店舗敷地を出て、道路を走り始めると車体の重心をしっかり感じることができました。以前乗ったWくんのDucati Sport 1000もそうでしたが、それに輪をかけて分かりやすかったと思います。これがここ数年言われている「マスの集中化」の効果なのでしょうか?
試乗ルートはお店のあるショッピングエリアを抜け、二車線国道から県道を経由して戻るルートでした。その間、交差点でのターンは数回しかありませんでしたが、ターン時の倒れ方が軽くて心地よかったのを感じました。これはもう少しスピード出してターンしてみたいところですが、これも大人なので我慢しました。
しかし直線の多い試乗ルートですから、少しだけ開けてみたくなるのがバイク乗りの性です。右手に少しだけ力を込めると簡単に身体が置いていかれるような加速をしました。ありきたりな感想ですが、初めてオートバイに乗った時の感覚を思い出しますね。
途中、路面のギャップを拾った時のサスペンションからの応答は固めに感じました。これほどの出力がある車両ですから、車の流れに合わせた街乗りでは少々固く感じるのは仕方ないのでしょう。逆に言えば、負荷のかかるワインディングや高速道路では頼もしく感じられるようなセッティングになっているのかと思います。
あっという間の試乗は10分少々でしたが、正直もう少し乗っていたかったです。900 Super4が発表になってから半世紀弱が経ち、ZとRSの名を冠する現代のKAWASAKIのRoadSterはパワフルでありながら軽快、筋肉質でありながらも曲線美のある、正に”Zapper”の哲学を受け継いだモデルであると感じました。
そんなことを思いながら、付き添いのS.Oと帰り道に中古二輪店を覗いてみると、先代のZephyr750が150万、先々代?のZ1が220万でした…。ご先祖様達の価格高騰は今に始まった話ではありませんが、さっき乗ったZ900RSの新車が150万弱で買えることを考えると、オートバイの値段とは一体何なのか?と答えのない問いに堂々巡りするのでした。