2日目は福井県三国から日本海沿いを南下して敦賀、小浜から京都を抜けて大阪に至るルートを計画していました。
1日目の様子はこちら:
1000mile Grand Touring 2018-Day-1 | Scientist on the motor
福井の美味い肴と酒に頭まで浸かった翌朝は、吹き抜けからの日差しと無垢床の香りが心地いいKさん宅で起床しました。昨晩は楽しさから数々のご迷惑をおかけしました…。その上暖かい朝ごはんまでご馳走になり恐縮しきりです。
居心地の良さに後ろ髪をひかれながらも、春らしく青く抜けた空を見ると走りたくてたまらなくなります。昨日あんな走ったのに…この感覚はオートバイに乗り始めてから変わりません。
「そいじゃ俺も準備すっかな!」とジャケットを着てブーツを履くKさん、この日は敦賀まで一緒に走ってもらえることになりました!しかも愛車はDucati sport1000なので、日独英伊四ヶ国のトラディショナルツインによるGrand Touringとなったわけです。
まずは住宅街を抜けて街中にある映えそうなカフェで一服。近所にこんな素敵なカフェがあるなんて羨ましいです。誰か喋る度に酒臭いような気がするような朝に爽やかな自家製のレモネードが沁みました。
またうっかり長居しそうになる前に各車に火を入れ、三国港、九頭竜川を越えて海沿いの「漁火街道」へ。6年前くらいにW650で走って最高に気持ちよかったこの道は3年前に偶然再会が叶い、また縁あって走ることができました。
三国からは右手に大きく広がる空と海に抱かれるように、心地よいペースで走ることができます。連休中とあって交通量は多めでしたが、無粋な信号が水を差すこともありません。
青く抜けた空、深く輝く海、そんな青を写したかのようなガソリンタンク。高揚した気持ちを代弁するように弾むエンジン、はしゃぐように地面を蹴るタイヤ、シンプルだからこそ一緒に走れる、人馬一体を確信できる瞬間というのは、走り回ったからといっていつでも得られるものではないと思います。
せっかく導入したインカムなのに「最高だな!」「おお!サイコーだな!」と同じような会話しかしていなかった気がします。本当に心地よい感覚というのは言葉にもできないし、こうして文字にしても安っぽくなってしまうものです。みんな同じ気持ちで同じ道を走れるなんて「最高」です。
漁火街道から敦賀市内に入り、3年前と同じ食堂でいただいたのは海鮮丼。海なし県民は海の物に弱いものです。思わず今日の宴会スタートになりそうな勢いでしたが、大人なので我慢です。
昨日から大変お世話になったKさんともここでお別れ。本来なら名残惜しいところですが、明日にでもまた泊まりに行けそうな感覚がどこかにあり、自然と笑顔で出発することができました。本当にありがとうございました。
敦賀市内を抜けて小浜方面へ進むと、北陸と関西の境目なんでしょうか、一気に長閑な雰囲気になり、ガソリンスタンドを探すのに難儀する場面もありました。
こんなありふれた片側一車線の地方国道さえも気持ちいいツーリングルートのはずが、疲れの出始める昼下がりには眠気との戦いになりがちです。そんな時こそインカムが大活躍する場面でありまして、他愛もない話をしているだけで気分は修学旅行?
「こういう最新の便利道具ってあいつ嫌いそうだよな」なんて我々に言われながら使い始めたJくんも、途中接続が途絶えるとどこか不安そう。「お前らだけ喋って寂しいじゃねーか!」と、すっかり気に入ってもらえたようです。
今回JくんとXくんが使っていたのがこちら。
数年前に私が買ったこのモデルともユニバーサルペアリングすることで通信が可能になりました。
小浜から南下した国道沿いにはどこにでもあるようで、誰もが安心できる日本の里山が広がっており、心地よいペースで走ることができました。トライアルで有名な「亀岡」の地名が出る頃にはすっかり陽も落ちて、ただでさえ土地勘のない我々はどこを走っているのかさっぱりわからない状態です。インカムから聞こえるJくんの地元案内を聞きながら長い有料トンネルをくぐると、のどかな田園風景から都市部の風景に一変して大変驚きました。
事前に調べた目的地の地名が見え始める頃に今度は私のインカムが電池切れで切断…。なるほど、これは結構寂しいですね…。
無事に?Jくん宅に到着し、今夜も酒を求めて最寄駅から繁華街に繰り出しました。知らない土地の電車って旅情を感じるので大好物です。大阪、というと梅田やなんばの風景を思いがちですが、こうして地元の人に案内してもらうといろんな景色が見られてイメージも変わります。
と言いながらも、大阪らしい風景にテンションを抑えきれない関東人…。
流石というかなんというか、我々の雑なリクエストだけで的確な店を見つけてくれる彼のセンスには脱帽です。早い安いうまい!はどこの土地でも正義でした。
最後はベタにたこやきなんて買いながら、初めての街を酔った足でフラフラ歩く。こんな時間でさえ旅の醍醐味のひとつだと思ってます。
「うわーストロングゼロキツいなー!」
「寝る前に油そば食うんだろ?」
「このタコ焼きタコ小せえ!」
全員30代になってもやはり気分は男子校の修学旅行。宵(酔い)が廻るころ、閑静な集合住宅にOHV三気筒の咆哮が響くのでした。