オートバイをサーキットに持ち込む-トランポの選択肢

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オートバイでサーキット走行をする場合に頭を悩ませるのが走行車両の運搬方法です。私はこれまでに参加したサーキット走行イベントにすべて自走で参加していましたが、スポーツ走行中に転倒やトラブルがあると帰宅が困難になるリスクがありました。また、イベント終了後の疲れの中、渋滞する高速道路を走って帰るのも安全面から言えば避けたいところです。

そんな背景から去年のVintage Caravan参加時にトランポ積載を試すことにしました。
Vintage Caravan at 袖ヶ浦Forest Raceway | Scientist on the motor

 

一般的に考えられるオートバイの陸送手段は以下のものが考えられます。

1.レンタカーを借りて積載する
2.バイクショップに頼む
3.積載用の車を買う
4.現在の自家用車でトレーラーを牽引する

 

1.レンタカーを借りて積載する

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(写真はイメージです)

すぐに思いついて汎用性が高いのがレンタカーです。軽トラックからハイエースまで、運びたい車両に合わせてキャパシティを決めることになると思います。もちろん利便性の高い車両は値段も上がりますので、コストとのバランスを考える必要があります。

 

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オートバイを積載する場合に最も理想的なのがハイエース、最もコストパフォーマンスの高いのが軽トラックです。ハイエースの利点は車両が露出しないことと、ある程度の重量物を積載しても加速やハンドリングに影響がない 走行能力だと思います。特に遠征になる場合は高速道路の走行が長くなりますし、どこかで宿泊する場合には駐車場でオートバイが野ざらしになるリスクを回避できます。
唯一にして最大の短所としてレンタル料金が相応の額になり、ある程度の予算を準備することになります。ここはごもっともなお話です。

 

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一方で軽トラックの長所は何と言っても経済性です。まず料金が24時間5000~7000円と、ハイエースの半分程度になってくれます。さらに移動に使う高速道路料金もオートバイ自走と同じ「軽・二輪」の料金になりますから、自走した時と同じ金額で済むわけです。

短所として、積載時の走行にはそれなりに気を遣うことです。適切な固定ができていないと路面のギャップで荷崩れの可能性がありますし、横風が吹けばハンドルをとられます。高速道路の走行ではアクセルを踏み込んでも流れに乗るのに多少の慣れが要るかもしれません。積載車両はむき出しであることから、雨が降ればずぶ濡れになりますし、どこかで休憩するのであれば人目に晒された状態で車両から離れる場面も出てきます。日帰りならともかく、宿泊を伴う場合は気になりますね。

自動車レンタルも最近ではレンタカーだけでなくカーシェアもありますし、価格や利便性で競争力を持たせたサービスが増えましたので、あれこれ比較すれば条件に合った最適解が見つかる可能性は高そうです。

 

2.バイクショップに頼む

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次はお店にお願いする方法です。サーキットイベントに参加するショップではお客さんの車両をまとめてトラックで運ぶ場合があります。もちろんお金がかかりますが、プロの手で積載、運送、荷降ろしをしてくれるので安心です。また、イベントによってはサーキット走行中のトラブル対応もお願いできるかもしれません。いずれにせよ、自分での車両管理やサーキットまでの道中に不安がある場合はこれ以上の安心が得られる選択肢はないと思います。

当然お願いするには相応のお金がかかります。複数のお店についてレースイベントのでの車両輸送費用を聞いてみたところ、一回あたり8000円~が相場なようです。金額だけで考えるとそんなもんだろう、という印象もありますが、自分自身の移動は別途行う必要があります(トラックに乗せてもらえるという例外を除いて)。オートバイとは別に自分が普通車でサーキットまで移動した場合、前述の料金に普通車分の交通費がプラスになりますから、その分割高になります。ランニングコストを抑えたい貧乏ライダーには頭の痛い話です?

また、車両輸送をお願いしようとするお店とは日頃からある程度の付き合いがある事が前提になると思います。お店側からすれば、会ったことのない人に依頼されてもどんな人とどんな車両なのか分からなければ引き受けにくいでしょう。さらに、そのショップが参加しないイベントや、自主練習の場合はこの手段は適用できません。その点でのフレキシビリティーは低くなります。

 

3.積載用の車を買う

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一回あたりいくらかかるか考えるなんて面倒だ!という方はトランポにする車両を買ってしまうのが早いと思います。買うとなると構えてしまいますが、軽ワゴンか旧型のミニバンであれば積載力もあり、値段も割安です。月々の駐車場料金や保険、税金などを考える必要がありますが、自家用車と兼用するならある程度のコストは無視できます。

悩ましい点としてはサーキット走行を趣味にしている期間で初期費用の旨味を回収できるか?という点と、自家用車と兼用する場合は家族の理解が得られるか?という点でしょうか。オイルやガソリンの臭いが充満したファミリーカーに理解を示してもらえるよう、日頃からの活動が重要になります?

 

4.現在の自家用車でトレーラーを牽引する

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(写真はイメージです)

トランポを購入してしまう案の変化形で、現在所有している四輪車にトレーラーを着けるという案もあります。調べてみると数多くの車両に対応したヒッチメンバーが売られており、二輪の積載用に作られたトレーラーも市販されています。ヒッチメンバーとトレーラー合わせて安くとも20〜30万円はかかりそうですが、前述した車両購入よりは費用を抑えられそうです。現在の自家用車とトランポを入れ替えたくない場合は必要な時だけトレーラーを使えば良いですし、趣味性の高い四輪車を所有していれば、トレーラールックも楽しめそうです。

一方でデメリットとして、車両購入より費用が抑えられるものの、前述したように相応の出費が必要になること、トレーラー自体の車検も必要になり、その都度費用がかかること、トレーラーの置き場所が必要になる事が挙げられます。また、高速道路料金は車両の車軸数で決まりますので、トレーラーを牽引して高速道路に乗ると3軸分の料金が適用になり、通常の四輪車より割高になります。

さらに、運転には相応の慣れが必要であり、普段なら何気なく通過する交差点や、駐車場での取り回しに気を遣う事になります。運転の難しさはトレーラー特有のものですから、それも楽しみのうちではありますが、万人に対して気軽なものではないと思います。

 

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ここまで書いた案は私自身がサーキット走行に際して実際に考えた上で出てきたものですから、もっと効率的でかっこいいアイデアがあるかもしれません。しかし一方でこれからサーキット走行を楽しもうとするオートバイ乗りが現実に悩んで思い付いたという点ではリアリティのあるアイデアではないかと思います。

どれも実現可能であるからこそ悩ましいものでしたが、現在私が選択している方法はひとつ目に記述したレンタカーです。金銭的な制約が無ければ空冷ビートルにトレーラーが理想でしたが、初期コストとランニングコストを無視できるほどサーキット走行を続けるかどうかは分からない事から、現実的ではないと判断しました。他の人の何倍も走り込みたい初心者ですから、個人練習の時も自分で積み降ろしをできるようになりたいと思い、ショップへの依頼も選択肢から外れました。残るは自家用車のトランポ化ですが…これは家族への入念な根回しが必要ですから、一朝一夕に提案できるものではありません。

いずれにせよ、自分のスタイルに最も合っていて、かつ柔軟性の高い選択肢を選ぶ事が良いかと思います。モータースポーツ人口が減って久しい昨今ですから、こんな悩みも楽しみのうちですね。